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『BLACK LAGOON』Swan Song at Dawnの自分勝手な解釈。


「お兄さんは、なんだか違う感じがするわ。別のところ…別の世界にいる人みたい」

「殺して殺され、また殺すの、そうやって世界は円環(リング)を紡ぐの。」

「世界は本当は…、君を幸せにするために…あるんだよ。」

「…誰かが、ほんの少し優しければあの子たちは…学校に通い友達を作って、幸せに暮らしただろう。でも、そうはならなかった。」

「だから……この話はここでお終いなんだよ。」

「…きれいだわ、そら。……どうし…。」


少年と少女は、生まれた時から見るものは全て、曇った空、灰色の壁、血と闇だけだった。そして、異常な虐待を受け続ける中、少年と少女は「世界の仕組み」を知る。

「死と死が紡ぐ世界」

誰かの命を奪うことが世界を動かす源になる。殺し、殺され、そうして世界は永遠のリングを回り続ける。少年と少女が創った神様が、作った仕組みだった。

少年と少女が信じて生きる世界は、人を殺すたび、他の世界との乖離がより一層広がり。他の世界の存在を、一つ一つ血と闇の中に葬り、やがて二人だけの不可侵の領域を形成していくことに帰結していく。

そうして、少年と少女は二人だけが存在し、認め合い、共有し合い、血と闇が織り成す、永遠(ネバー・ダイ)をテーマにした冥い世界を生きることになった。つまり、ここで既にロックが生きる世界において、この二人の物語は終わりを告げていた。

永遠の物語(世界)が終わりを告げた時。その"くびき"は外れ、今までは灰色だった空が青空に変わり、カモメが奏でる音色が聞こえる。「ネバー・ダイ」はロックの世界に遺り続けることなったのだった。それはきっと、その新しい世界における「永遠」の形で。


■BLACK LAGOON(広江礼威)
『Swan Song at Dawn』
『Bloodsport Fairy tale』






「ねぇ、姉様。ここは一体どこなんだろうね。空がとっても青いよ。」

「ここが天国というところなのかしらね、兄様。」

「おかしいね。今まで、空の色は灰色だったのに。」

「そうね。とても綺麗…。」

「…僕達、死んじゃったんだね。」

「ええ。でもなければ空がこんなにも眩しい訳がないもの。」

「おばさんが言ってた。"永遠に生きるものなし"。…僕達は間違ってたのかな。」

「…今なら分かる気がするわ。人の死だけが世界を回し続けるモノじゃないってこと。私達、わがままだったのかもしれない。」

「"ネバーダイ"か…。そんなことを言っていた僕達が一番、人の死を、永遠には生きられないという事実を見ていたはずなのにね。」

「そうね。その時に私達が、私達が殺してしまった人と同じでいつかは死にゆく存在だということを少しでも感じることが出来たなら…。でもあの時は感じることが出来なかった。だからここで、このお話は終わりよ兄様。」

「さぁ、これから僕達はどうしようか、姉様。」

「…色々なものを見ましょう。ほら、ここでは今まで見ることの出来なかった、まだ残っているたくさんの人の、様々な世界が見えるわ。」

「今までは真っ暗で見えなかった僕達以外の世界。一体どの世界が残されて、どの世界が僕達と同じように遺されるんだろうね。」

「見届けましょう兄様。永遠に生きることなく、永遠に一緒に…。」